結露・腐食
Condensation / Corrosion
設備についてお困りのことはございませんか?
結露
結露が発生する原因を十分把握していても、思いもよらない場所で水溜まりを発見することがあります。特に冷蔵庫、冷凍庫周辺などの低温区域では、些細なことがトラブルの要因となります。対策のポイントは断熱と乾燥ですが、結露が見つかってからの処置の仕方は限られ、コストも相当かかります。従って冷凍冷蔵設備では、新築やリニューアルにかかわらず計画段階から結露対策に注意を払わなければなりません。
結露による弊害
結露が発生すると、水分による直接的な影響を与えるほか環境など二次的な被害を及ぼす恐れがあります。
- カビやダニを発生させる原因のひとつとなり、健康被害を生じることがある
- 内部結露により、外壁下地材や土台を腐らせ、更にシロアリ被害を誘発させて住宅の寿命を縮める
- 冷凍冷蔵庫で発生した結露水が凍結し、しだいに大きくなることで、構造体を破損させる
- 断熱材に浸透した水分が断熱性能を低下させる
空調機の結露
結露防止の基本事項
結露防止は温度差と湿度のバランスをコントロールすることで、以下の事柄が基本となります。
- 温度差を付けない
- 湿度を40%~50%に保つ
- 換気により湿気を排出する
- 室内の露点温度を下げる
- 表面温度を上げる
天井内の結露防止対策
- 防熱性能を増強する
- 換気を行う(ただし梅雨時期の多湿空気は導入しない)
- 天井内を断熱ボードやウレタンで完全に密閉する
- 除湿器を設置する
- 壁の内側に水抜きを設ける
室内の結露防止対策
- 防熱切れを作らない
- 前室あるいはノレン、エアカーテンを設置し、外気の侵入を防ぐ
- 除湿器を設置する
- 空気を滞留させない
項目 | 効果 | コスト | 問題点 |
---|---|---|---|
断熱増強 | △ | - | 局所的には有効だが、全体ではコスト高となる |
機械換気 | △ | ○ | 空気の流れが梅雨時期には結露拡大の恐れがある |
密閉化 | ○ | △ | 密閉化しにくい建築材料の時がある |
密閉化+除湿器 | ◎ | × | ランニングコストが大である |
エアカーテン・ ノレン |
- | ○ | 結露防止効果は低い |
事例(1)冷凍庫と冷蔵庫に挟まれた天井内が結露する
対策:ウレタン発泡により天井内を密閉し、除湿器を設置した。
効果:密閉化により外気の侵入を防ぐので、結露が発生しても大きく成長しない。
また、除湿器により内部は低湿度となる。
事例(2)冷蔵庫の床パネル表面に結露する
対策:床面の隙間に循環空気を通過させた。
事例(3)天井内換気をしているが天井裏に結露することがあった
対策:天井裏をウレタン発泡により密閉し除湿機を設置した。
また、多湿期の外気導入は結露を増加させるため、換気運転を停止する。
腐食
腐食は空気条件、電位、水質、物理条件など様々な要素が絡み合って発生します。
したがって主原因がつかめない腐食もあり、耐食性の高い材料を使用すれば良いとは限りません。そのため、建築設備の延命のためには、周辺環境や運用方法を十分把握した上で、対策を講じる必要があります。新築の時は、計画段階から対策を盛り込む事ができます。一方、既存の場合は、経年劣化と共に腐食の発生確率は高くなりますので、10年以上経過した施設では設備診断を行い必要に応じた対策を立てます。
腐食による弊害
- 配管腐食による水漏れ、赤水の発生など
- 空調機コイル腐食による故障
- 断熱パネル、空調機外板、コイル腐食および
- 腐食生成物の飛散
断熱パネル外板腐食
腐食防止の基本事項
- 室内環境における腐食性物質の有無の確認
- 腐食性物質に適した材料・機器等の耐食仕様の検討
- 適正な管材、肉厚の選択
- 異種金属接合の防止
- 経年劣化の早期発見
異種金属接触による腐食防止対策
- アノードまたはカソード部分の防食被覆
- 絶縁継手などによる電気回路の遮断
- 外部から防食電流を与え腐食電流を消滅させる電気防食
異種金属接触腐食
冷蔵庫の腐食防止対策
- 厨房用に据え付けるパッケージ形空調機は、耐食型を採用する
- ユニットクーラーのコイル、ケーシングの材質は部屋の用途に対応させる
- コイルの材質はステンレスやカチオン電着品などが望ましい
- 海に近い場所の屋外機は塩害仕様とし、冷却塔は密閉型とする
- 屋外でも排水処理設備の周囲や浄化槽臭突排気付近など腐食性ガスが滞留しやすい場所には機器を設置しない
ユニットクーラー
防食仕様が必要な貯蔵物例(密閉容器、袋での保存を除く)
腐食性物質 | 腐食性物質の特徴 | 貯蔵物 |
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硫黄系ガス |
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塩素系ガス |
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アンモニア系ガス |
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腐食環境の改善
- 適正な換気により蒸気や腐食性ガスの滞留を防止する
- 床洗浄や薬品洗浄を行うときは、空調運転を停止し専用換気装置を稼働させる
- 結露防止対策を立てる